炭素鋼ナイフを選ぶと、ステンレススチールよりも鋭く、そして切れ味が長持ちします。ただし欠点として、炭素鋼のナイフは錆びやすいという特徴があります。しかし、錆びとパティーナ(Patina)を混同してはいけません。この記事では、パティーナとは何か、どのように発生するのか、その利点、そして錆びとの違いについて解説します。
パティーナは化学的に言えば「ナイフが歳を重ねているサイン」です。錆びとは違い、悪いものではありません。木の年輪のように、生命の証であり、むしろナイフを強くしてくれるものなのです。
パティーナとは?なぜ発生するのか?
パティーナとは、金属の腐食の一種で、ブレードにシミや色の変化を生じさせます。
特にウルトラハイカーボン鋼や炭素鋼のブレードに発生しやすく、ステンレス鋼には現れません。これは、ステンレス鋼に含まれるクロムがあらゆる腐食に耐性を与えているためです。その名の通り「ステンレス(=錆びない)」なので、パティーナも錆びも発生しにくいのです。
一方、炭素鋼のブレードにパティーナやシミが出やすいのは、鋼が水分や塩分、酸に反応するためです。たとえば、汗をかいた指で刃に触れると、塩分や水分により金属腐食が進み、パティーナが生じます。炭素鋼の性質上ほぼ避けられませんが、錆びと違って心配する必要はありません。
パティーナと錆びの違い
パティーナと錆びはいずれも金属腐食であり、どちらもブレードに痕跡を残します。そのため見分けがつきにくいのですが、両者は性質が異なります。
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錆び:炭素鋼の刃に不可逆的なダメージを与え、金属表面にひび割れや鋭い欠けを作ります。
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パティーナ:表面に変色を起こすだけで、保護膜として作用します。
錆びかパティーナかを見分ける方法
見た目の色で判別することができます。
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錆び:赤やオレンジ色の斑点が出る。
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パティーナ:灰色や黒っぽい変色になる。
例えば、左側のナイフに見られるのは灰色や黒のシミ=健全なパティーナ。右側のナイフにある赤オレンジ色の斑点=ダメージを与える錆びです。
ナイフの錆びを防ぐ方法
ナイフを正しくケアしないと錆びが発生します。しかし、それを防ぐのは簡単です。炭素鋼は水分や腐食環境に敏感なので、淡水で洗い、しっかり乾燥させ、定期的にブレードにオイルを塗る習慣をつけましょう。ナイフは優しい石けんで洗い、水ですすぎ、刃に付いた汚れを丁寧に落とします。強い洗浄剤や食洗機は刃を傷める原因となります。その後、柔らかく傷のつかない布で乾拭きし、乾燥した清潔な場所に保管してください。時々、刃にオイルを塗るのも効果的です。私たちはこの作業に最適なナイフブレードオイルを提供しています。
パティーナはなぜナイフに良いのか?
錆びが悪いことは分かりましたが、ではパティーナはどうでしょうか?パティーナはブレードの保護層として働き、炭素鋼のブレードが酸化するのを防ぎます。つまりパティーナは錆びや腐食から刃を守る良いものなのです。時が経つにつれ、自然にパティーナがついたナイフは錆びにくくなることも分かります。冒頭で説明したように、パティーナは木の年輪のように「生きている証」であり、むしろ刃を強くしてくれるのです。そのため、あえて意図的にパティーナを作る人もいるほどです。
ロセリのケアについて
良い道具は長く使うために作られています。本物のアウトドアマンの証は、ピカピカの新品ではなく、使い込まれてパティーナをまとった信頼できる道具です。しっかりと作られたナイフは、一生涯の冒険に寄り添います。使い込むことで真価を発揮するのです。ロセリを大切にケアすれば、一生の相棒になります。さらに詳しいサポートやガイドが必要な場合は、ケア&リペアガイドをご覧いただくか、info@roselli.fi まで直接お問い合わせください。